マンチェスター・ユナイテッドvsガンバ大阪 ムキにさせたことで評価できる一戦
いやぁ、実に面白いゲームを見させてもらった。
そのゲームはクラブワールドカップ、マンチェスター・ユナイテッドvsガンバ大阪の一戦である。
結果は5−3。
マンチェスター・ユナイテッドが決勝に駒を進めた。
テレビでは解説者がやたらと「マンチェスター・ユナイテッドを本気にさせました!」と興奮気味にがなりたてていたが、私から見れば本気にさせたというより、ムキにさせたゲームであった。
前半戦、セットプレーで2−0と勝ち越したとき、マンチェスター・ユナイテッドは何ら本気ではなかった。
ゲームの立ち上がりからガンバは突撃モードで前係りな攻撃を繰り返すが、あの攻撃はなんら脅威ではなかっただろう。
何故なら、抑えどころは明確で、潰すべきところさえ潰しておけば、得点が奪われる機会はないと踏んでいたに違いないからだ。
体力を温存し、セットプレーで得点、後半は無理せずこのままゲーム終了でも良しと思っていたはずだ。
あくまでも主眼は決勝であり、心配な点はガンバの勝気で選手がケガすることこそ最も恐れていたところだろう。
ルーニーがベンチ・スタートしたことも、それが理由であろう。
後半が開始されても、ゲームプランに沿ったマンチェスター・ユナイテッドの攻撃が続く。
しかし、テベスに代えてルーニーがピッチに入った一瞬、マンチェスターに隙が見えた。
そこですかさずガンバ・山崎の会心のゴールが決まる。
2−1。
即座にルーニーが格の違いを見せ付けて得点を奪うも、ヨーロッパ王者の怒りは収まらない。
アジアのチャンピオンに失点を喫したことは恥であり、この恥を取り返すには圧倒的な力の差を見せ付けなければ気が治まらない!
「これが実力だ!」といわんばかりの攻撃で得点を重ねるマンチェスター・ユナイテッド。
しかし怒りは収まらないらしい。
ルーニーのイエローカードの提示されたプレーをみても、かなり頭に血が上っていることが分かる。
だが、である。
ガンバは勝負を諦めない。
心底からこのゲームを楽しんでいる。
それが益々マンチェスターの怒りを買う。
「何故、諦めない!」
「何故、勝てると思うのか?」
「なめるんじゃねぇ!」
激しい妄想と言われようと、マンチェスター・ユナイテッドの姿はそう思っているようにしか見えないのである。
直後にネビルのハンドがとられ、PKに。
ファンデルサールはさすが!である。
動きもしない。
いつもよりちょい強めのキックがゴール隅に決まる。
遠藤がすかさずボールを奪いにファンデルサールに寄るが、カメラが捉えたファンデルサールの顔は怒りに満ちている。
明らかにムキになったマンチェスター・ユナイテッドのバランスを崩した攻めがガンバ大阪の3点目を生む。
そしてタイムアップ。
実に面白いゲームだった。
夫婦は似るという。
それは長年連れ添うことで、どことなく共通の習慣めいたものを共有することから生まれるのかもしれない。
そして今日思った。
チームは監督に似るのだ、と。
温厚そうな赤ら顔のファーガソン監督であるが、ゲーム後に怒りで蹴り上げたスパイクがベッカムを直撃し、両者の亀裂を生んだという逸話もある。
そう、根は激情家なのだ。
ファーガソン率いるマンチェスター・ユナイテッドもそれに習い激情家揃いだ。
その人間的なチーム・カラーこそ、マンチェスター・ユナイテッドの魅力でもあり、また弱点でもあるだろう。
もしこれが冷静なベンゲル率いるアーセナルであったなら、このようなゲームはしなかっただろう。
そして、そのマンチェスター・ユナイテッドをムキにさせた点でガンバ大阪は大きな仕事を成し遂げたといえる。
世界でこのゲームを視聴した人はいうだろう、恐れを知らない神風チームだ、と。
テレビの解説者はいう、「マンチェスター相手にボールポゼッションでほぼ互角です」と。
それは当たり前だろうと、テレビの前で一人呟いた。
ガンバはこのゲームで失うものなどない。
プレミアリーグを闘うチームは勝ち点という目標がある。
マンチェスター相手に失点もやむを得ず、なんて姿勢で闘っているチームなんてない!
失点のリスクを犯しても前に出る闘いが出来るのが、こうした一発勝負のトーナメントの面白みだ。
もしガンバ大阪が今日のようなゲームに少しの余裕を持ってJリーグで毎試合行えるのであれば、確実に優勝をさらうだろう。
それが出来ないのは、リーグ戦だからである。










