リスタート
国立に到着して会場に入る。
いきなり飛び込んでくるのは、真っ赤に染まったアウェイの山。
紅葉で恐ろしい威圧を加える景色そのものである。
おまけにその山は唸りを発する。
選手紹介で起こるブーイングの嵐。
チュンソンと、フランサにひと際高いブーイングが…。
レッズ・サポにとってもこの二人がレイソルの象徴なのであろうか?
だとしたら、「それだけではないぞ!」と心でつぶやく。
柏バカ一代が始まる。
レッズ・サポからのブーイングは聞こえない。
松山千春ネタが始まる。
直後に「やり直し〜」とレッズ・サポからのコールが起こる。
なんだかんだ言っても、レッズ・サポも柏名物の時事ネタ披露を心待ちにしていた感が伺える。
やはりJリーグはいい。
スタジアム観戦はいい。
レッズ・サポにもあらためて感謝したい。
ゲームはどうあれ好ゲームになる気がしていた。
昨年のレッズ戦ではレイソルがレッズにリスペクトしすぎで前半はレイソルのゲームが出来なかった。
だが今期、レイソルの成長の一つが自分たちのサッカーをやりきることに対し決断めいた姿勢でゲームに臨めるようになったことだ。
その成長の姿はゲーム立ち上がりから即座に披露できていた。
前線からのプレス。
攻守の早い切り替え。
シンプルな攻撃。
スペースへの飛び出し。
2列目、3列目の追い越しによる攻撃の厚み。
前半15分、レッズの三都主が早くも負傷退場。
オーストリア・リーグに順応するためだったのか、かなりウェイトが増強された感の三都主であったが、あの体形はJリーグには合わないだろう。
スペインリーグからJリーグに復帰して、以前の輝きを取り戻せなくなった城の轍を踏まぬように。
20分を超えてからはレイソルがゲームの主導権を握る。
素早いカウンターでポポ、太田の躍動が冴え渡る。
即座にフォローに駆け上がるレイソル・イレブン。
チュンソンのボール・キープは安心してみていられる。
注文をつけるとすれば、ジローの判断が遅いこと。
ボランチでもっと左右にボールを捌けていたら、ピッチはより大きく使えたはずだ。
チュンソンのシュート意識が高い。
アレックス、ポポに続けとばかりに放たれるシュートは残念にも相手DFに阻まれる。
だが、「これでいい!」と納得の拍手。
「いっちゃえ〜!」と声援を送っていたクラが中に切れ込んでシュート!
惜しくもバーを直撃、ゴールはならず。
しかし、ワールドクラスのシュートであったことは間違いがない!
やはりクラはスゲ〜奴である。
そして直後の29分、DFの裏に飛び出したチュンソンにボールが繋がる。
いやらしいほど冷静なチュンソンは、GKもかわして無人のゴールにシュート。
角度のない位地からのシュートだったので瞬間心配したが、無事にゴールネットを揺らす。
レイソル、先制ゴール!!!!!!!
怒涛のスタンディングでサポもオーレ!!!!!
この時ばかりは赤い山が怖くもなんともなく、麗しい景色に見えたものだ。
レイソル・サポの歓喜に「浦和レッズ!」のやまびこが返る。
これで「勝った!」とは到底考えていたわけではない。
だが、今日のレイソルならば「負け」はないと感じた。
得点後の失点が多いのもレイソルの弱点だ。
レッズの猛攻に菅野のスーパーセーブが光る。
レイソルの攻撃に拍車が掛かる。
「攻撃こそ最大の防御である」のことわざ通りの展開。
しかし、決まられない。
このときの怒涛の攻撃で2点目、3点目が決まっていれば、ゲームは楽になっただろうが、言い換えればこの決定力をあげればさらにチームは成長できる。
成長の伸びシロと思って我慢、我慢である。
前半が終わる。
ポンテに決定的な仕事をさせなかったことが主導権を握れた要因だろう。
エジミウソン、高原の両相手FWが孤立する姿は、前半戦同様解消されていないように感じた。
後半スタート。
激が入ったレッズのプレスがすさまじい。
プレスというより威圧と呼ぶに相応しい。
さすがはアジア・チャンピオンのチーム。
個々の高い技術で前を向いて仕掛けられる攻撃は、脱帽ものである。
しかし菅野の超越的スーパーセーブがここでもレッズを食い止める。
さらに攻撃の勢いを剥ぐかのような菅野のボール・セービング。
肝が超人的なのも菅野の特長だ。
菅野のプレーに意図を感じたレイソルにレイソル・サッカーが蘇る。
アレックス、ジローのシュート、太田のスペースへの飛び出しがゲームを拮抗させる。
しかしポンテのフリーキックに阿部のヘッドがドンピシャでヒット!
浦和が追いつく。
ゲームはここからだ。
と、誰もが思っていたそのとき、レイソルベンチで動きがある。
バックスタンドからはレイソルのベンチが真正面に見えていた。
ベンチのいすに掛けられていた、大きく「10」の背番号が入ったユニフォーム。
そこに歩み寄る白いインナーを上半身に身に着けた男。
「10」のユニフォームに手を掛け、すっぽりと身につける男。
フランサの登場だ〜〜〜〜〜!!!!!
誰と代えるのか?
ジローがアウトで、巌のワンボランチか?と思ったが、交代はアレックス。
フランサがピッチに姿を現す。
直後ボールはフランサに集まるが、逆にそのパスは読まれミスが続く。
だが瞬時にレイソル・イレブンはボールを捌き始める。
フリーのスペースでボールがフランサに集まる。
フランサを基点に攻撃が回り始める。
ポポのシュート、ジローのシュートが続く。
35分にポンテが梅崎に交代。
もっと見たかった司令塔対決がここで終わる。
40分になれば闘莉王を前線に上げて浦和のパワープレイが始まると思っていた。
早く得点を!と思った矢先に、フランサのラストパスが太田に渡る。
ワントラップして冷静にシュート、完璧なシュートがゴールをわる。
レイソル、勝ち越し〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!
浦和は個のプレーでゴールを狙う。
しかし連動性のないプレーは脅威を覚えない。
菅野はあのプレーでゴールを許すようなプレイヤーではないという絶対的な安心感があるからだ。
「もう無理するな〜、時間を使え〜!」
ロスタイムは3分。
フランサのボールキープが冴え渡る。
そしてジャンプしてのラボーナに場内が沸く。
岡山劇場ならぬ、フランサ劇場の開幕だ!!!
ロスタイム、不可解なレッズのCKが続く。
「何故、今のがCKなんだ!?」
不可解な判定に国立のサッカーの神様が味方したか、レッズのシュートは枠をはずす。
タイムアップ、レイソル勝利〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!
いやらしいが、レイソル・イレブンがあいさつに来るまでは浦和のブーイングを注目していた。
それだけ、あの赤い山は脅威だったのだ。
しかし意に反して誰かを賞賛するチャントが響く。
ブーイングはしないんだ、と思っていたらレイソル・イレブンがあいさつに来たので賛辞の声援と拍手で迎えた。
「ブ〜!」と短いブーイングが赤い山で起こった。
それは本当に短く弱々しいブーイングだった。
さあて久しぶりのレッツゴー柏だ。
だが日立台と違って拡声器の声がバックスタンドに届かない。
残念だがレッツゴー柏は広い国立のスタジアムでは選手とゴール裏だけの儀式になってしまった。
これが日立台であれば、スタジアム全体の儀式になったのに…。
浦和の山が動かなかった。
普通なら負けチームは選手が引っ込めば、退場が始まるのに、じっとして動かない。
もしかしたらレッツゴー柏にブーイングを…?
それは辞めて欲しいと思っていたので、そのブーイングがなかったことに安堵した。
ありがとう、浦和サポ。
勝ったことにイチャモンをつかられるようなブーイングは、気持ちが良くないので正直嬉しかった。
アジアチャンピオンであると同時に浦和はサポでもアジア一だろう。
浦和サポに尊敬の念を抱く。
チュンソン、太田のヒーローインタビュー。
らしさが前面に出たコメント。
いつもながら太田のハスキーボイスは狂人に笑みをもたらす。
どうしても、あの太田のプレーと声はマッチしないからである。
無尽蔵のスタミナでピッチを駆け上がり、冷静にゴールを決める太田には野武士のような低音の声を発すると勝手に連想しているからだ。
「スタジアムに足を運んでください!」という太田の呼びかけは、かならずやあのゲームの勝利を「嬉しい」と感じた人間には届いたはずだ。
次は聖地・日立台のガンバ大阪戦だ。
今日のコンディションであれば、フランサの先発起用はほぼ間違いあるまい。
今日のサッカーで出来れば、ガンバに昨年の借りを返すことは120%の確立で可能だ。
本当のレイソルを、本当のレイソルの可能性を明神にあらためて思い知らせることが出来る。
ブログの更新が疎かになったのには訳がある。
ナビスコカップ、札幌戦。
テキスト速報に頼るほかない状況の日曜日、あの事件が起きた。
通り魔…。
レイソルのゲームに一喜一憂している人間がいながら、かたや、秋葉原でトラックとナイフで手当たり次第に殺傷する人間がいる。
犠牲になった方々も、毎日の何かに一喜一憂しながら、ささやかに、かつ、幸福に暮らす方々だっただろう。
私と何も変わらない人々。
それを考えると、その日のレイソルの一戦に何かを語ることは出来なくなっていた。
理不尽に命を絶たれた方々を考えると、語るべき物とは何なのかが分からなくなった。
サッカーを通じて出来ること…。
それが明確になった昨日のレッズ戦だった。
人が集い、何かに声援を送り、何かに共通に喜び、悲しみをときに共有する。
そのことの素晴らしさ。
ネットは手段であり、決して目的ではない。
もしこのブログで出来ることがあるとすれば、日立台に集い、レイソルのサッカーに一喜一憂することの素晴らしさを伝えようと試みることでしかない。
駄文に過ぎないこのブログに少しでも興味を抱き、「日立台に行ってみようかな」と思う人間がいれば、こんなに嬉しいことはない。
ヒッキーでも、プータローでも、人生が上手くいっていないと思っている人でも自殺しようと思っている人でも欝で苦しんでいる人でも、とにかく日立台に集まれ!
勝っても負けても、感情を共有することが出来る場は、限りなく美しく、そして尊い。
その経験は間違いがなく、あなたの感情にプラスに働くはずだ。
そのためにも「柏レイソル狂人日記」はリスタートする。
ガンバ大阪戦、見ずに死ねるか?










